【悲報】小林晋選手の多摩川競艇事故の一部始終と過去の功績

小林晋

多摩川競艇の事故は避けられなかったのか?

今回は、2022年1月12日の多摩川6Rで起きてしまった残念な事故の詳細と、多くのファンに愛された小林晋選手の功績を振り返ってご紹介したいと思います。

水上の格闘技』とも言われるボートレースは、男女関係なく連日激しい戦いが繰り広げられる一方で、例え実力者であっても攻めた結果、転覆や衝突などの事故が起こるケースがあります。

その例として、2021年12月ボートレース界で最高峰のレースであるグランプリの優勝戦でも前年度の賞金王(峰竜太選手)がターンマークに衝突し転覆し、後続が巻き込まれた事故がありました。

競艇におけるボートの最高速度は時速約80km。レーサーの体感速度は時速120kmにまで及ぶとも言われているため、接触した際のダメージは相当なものでしょう。

競艇という公営競技がはじまってから現在まで既に命を落としてしまったレーサーは30名以上。

この数からも、いかに選手たちが命がけでレースに挑んでいるかがわかるかと思います。

今回発生してしまった転覆事故で亡くなられた小林晋選手もその一人。

ここからは、そんな小林晋選手について紹介したいと思います。

平和島の穴開け屋『小林晋』とは?

平和島の穴開け屋」という愛称でも親しまれるほど、強気なレースでファンを魅了してきた小林晋選手。

小林選手は85期生として1999年11月に平和島でデビュー。直近のクラスはB1級ですが、かつてはA2級で活躍していた選手でもあります。

優勝経験はありませんでしたが、通算12回の優出戦出場も経験。

通算成績

・出走数:3324回(内1着342回)

・出場節数:428節(SG・G1の出場はなし)

同期には現在もSG・G1で活躍している、井口佳典選手や田村隆信選手がおり、銀河系集団とも呼ばれている85期生の中の一人でもありました。

では、なぜそんな選手歴23年目のベテランレーサーが不慮の事故で命を落としてしまったのか。

実際のレースを詳しく見ていきましょう

小林晋選手の死因とレース事故の真相は?

今回事故が起こってしまったレースは2021年1月12日(水)の多摩川6R。

BOATBoyCUP静波まつり杯の最終日でした。

まずは当日のスタート展示や多摩川の水面状況を見てみましょう。

枠なり通りで、2号艇・4号艇・5号艇・6号艇の計4艇がフライング。

スタート展示は比較的攻めて、本走で合わせる印象がありますが、中でも6号艇の小林選手は大外からということもあり攻めていた印象を受けました。

また、当日の天候は至って良好で風や波も比較的穏やかな状況下でのレースでした。

本レースの動画を基にレース展開を確認していきましょう。

小林選手は2周目のバックストレッチで伸び、3番手に食い込もうとしていたその矢先の出来事でした。

前を走っていた4号艇の後方部分とスピードに乗っていた小林選手が接触し、前の艇に乗り上げる形で小林選手は転覆。

その後、小林選手は後続の艇と接触。直ぐに救急車で搬送され集中治療室で治療が施されたようですが44歳という若さで帰らぬ人となってしまいました。

この訃報はボートレース公式サイトでも発表され、SNS上では悲しむ声が多くあがりました。

令和4年1月12日(水)ボートレース多摩川の第6レースに6号艇として出走した登録第4026号小林晋選手(B1級 東京都出身 44歳)は、2周バックストレッチ航走中、他艇と接触し転覆、その後、後続艇と接触しました。直ちに救急車で多摩総合医療センターに搬送され、集中治療室で治療を行いましたが、本日15時52分に死亡が確認されました。なお、死因は現在調査中です。レース中における選手の死亡事故は、令和2年2月9日ボートレース尼崎で事故に遭った登録第3529号松本勝也選手(兵庫)以来、開催当初から32件目となります。謹んでお悔やみ申し上げますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。

小林選手の詳しい死因については現在調査中とのことなので、詳しく分かり次第こちらにも追記したいと思います。

競艇・ボートレース事故事例

小林選手の事故を受けて、華やかなボートレースの違う一面である選手達が命を賭けて競い合う危険な競技であることを再認識することとなりました。

そこで、これまでに起こってしまった競艇・ボートレースにおける死亡事故の事例を紹介していきたいと思います。

選手名 開催場 死亡日 年齢 事故内容
西塔莞爾 児島 1953/01/07 29歳 試運転中の事故
横溝幸雄 唐津 1953/12/24 34歳 試運転中の事故
大井手善信 唐津 1954/02/05 20歳 他艇と接触
中島常价 びわこ 1962/01/06 32歳 試運転中の事故
小笠原政敏 鳴門 1962/07/25 28歳 他艇と接触
大西昭 唐津 1963/07/09 31歳 練習中の事故
川添一夫 若松 1965/02/22 35歳 展示走行中に接触
和泉定治 児島 1965/03/23 40歳 /
中井紘司 芦屋 1965/12/23 24歳 他艇と接触
半田弘志 若松 1968/05/14 29歳 岸壁に追突
中村五喜 唐津 1968/10/14 34歳 岸壁に追突
蛇山清 鳴門 1970/11/01 23歳 岸壁に追突
石塚一雄 平和島 1972/11/12 35歳 他艇と接触
池田博 多摩川 1973/10/07 52歳 他艇と接触
筒井博利 若松 1977/09/30 31歳 /
一瀬隆 大村 1978/08/14 27歳 /
花田龍美 大村 1981/08/24 34歳 /
勝股勇 江戸川 1982/01/23 38歳 /
安心院信行 三国 1983/01/24 30歳 /
宮本力 江戸川 1985/01/3 37歳 練習中の事故
清水正博 桐生 1989/01/6 23歳 /
水野定夫 江戸川 1993/11/22 48歳 /
有吉貴之 1997/09/04 27歳 /
伊藤公二 浜名湖 1998/03/23 55歳 他艇と接触
沢田菊司 平和島 1999/11/06 48歳 後続艇と接触
木村厚子 2003/05/25 38歳 後続艇と接触
中島康孝 尼崎 2004/03/28 26歳 岸壁に追突
坂谷真史 住之江 2007/02/26 26歳 転覆/後続艇と接触
岩永高弘 若松 2010/05/14 36歳 転覆
鈴木詔子 下関 2013/11/02 52歳 岸壁に追突
松本勝也 尼崎 2020/02/09 48歳 転覆/後続艇と接触
小林晋 多摩川 2022/01/12 44歳 転覆/後続艇と接触

競艇で初の事故被害者となってしまった『西塔莞爾』選手の死から現在までの約70年間で計32名のボートレーサーが競艇・ボートレースに関わる事故でこの世を去っています。

最も多かった事故内容はレース中の他艇との接触や後続艇との接触によるもの。

『小林晋』選手を含めると、合計12回の死亡事故になっています。

時速約80kmもの速さで競い合う競技であるため、選手同士が接触した場合、追突された側もした側も物凄いダメージを受けるため最も危険な事故と言ってもいいでしょう。

接触に次いで、多かった事故内容は岸壁への接触です。この事故内容もまた競艇ならではのスピードによって起こりうる事故だと言えます。

また事故が起きた競艇場に注目すると若松が最多の4回。次いで唐津と江戸川の3回。

ちなみにこれまで死亡事故が一度もない競艇場は以下の通りです。

死亡事故がゼロの会場
宮島/戸田/徳山/福岡/蒲郡

各競艇場の設立時期は異なるとはいえ、上記の5つの競艇場は死亡事故がゼロである事には変わりまりません。

競艇場によって死亡事故の回数に差があることからも、少なからず競艇場の特徴が事故発生に影響しているのではないかと競艇・ボートレース予想Mastersは推測しています。

また競艇を含めた公営競技は、選手たちが命を掛けて本気で競い合うもの。

そのため、事故によって自分が賭けていた艇の勝ち負けに影響が出たとしても、事故を起こしてしまった選手たちを誹謗・中傷するようなことはしないでください。

それが私を含めた競艇ファンからの選手たちへのマナーです!

小林晋選手を惜しむファンからの声

小林選手はこれまで多くのファンを魅了し競艇界を盛り上げてきたボートレーサーの一人。

そのため、同じ選手やファンからは小林選手を惜しむ沢山の声が上がっていました。

中には小林選手だけでなく、接触してしまった後続の選手を心配する声もあがっていました。

不慮の事故とはいえ、後続の選手にとっても辛い出来事だったはずです。

関係者の方々のメンタルケア等で今後のレースでも頑張ってもらいたいと管理人は祈っています。

【追悼】小林晋選手

ここまで、小林晋選手について綴ってきましたが、最後のレースでも競艇では不利とされている大外から、果敢に上位入線を狙ったレースを見せた小林晋選手。

小林選手の勇姿を目の当たりにして、再度ボートレーサーは常に死と隣り合わせの状況下で命を賭けて競い合っていることを強く実感しました。

また小林選手は44年間という人生を大好きな競艇のレースによって終えましたが、今後は小林選手が育てた弟子が必ず小林選手の分も活躍してくれることでしょう。

競艇・ボートレース予想Mastersの管理人も悲しい気持ちで一杯ですが、小林選手の悲願だったG1・SG制覇を後輩が成し遂げた際は、またボートレース予想Mastersでも取り上げたいと思います。

平和島の穴開け屋の小林晋選手に向けて、心よりご冥福をお祈り致します。

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